2008年6月28日土曜日

inu

エアコンを運転させるのは、当然室温が暑かったからだが、時間の経過とともに次第に肌寒く感じることもある。それならばエアコンの機能を停止させてしまえば良いわけで、そうするべくリモコンを探す。が、これが見つからない。リモコンをもってしてエアコンの機能を発揮させたのだから、この辺りにあるはずであるが、まったくその所在が不明である。しかし俺は慌てない。エアコンを停止させる方法など他にもあるのだ。俺は寒風を吹き出しているエアコン本体に近付き電源の釦を押そうと指を伸ばした。が、これが見つからない。エアコン自身に電源はおろか、スイッチ系統は何一つないのである。愕然とした。しかし俺はまだ慌てずにいられる。エアコン本体から伸びているコンセントを抜けば機能を停止させることができるからだ。嬉々としてコンセントに向かった俺。掴みかけた手を引っ込めた。
思い留まった。このコンセントを抜いてエアコンを停止させた場合、リモコンがなく、エアコン自身に電源もない今、もう二度とこのエアコンの潜在能力を解放させることが叶わなくなることに気付いたからである。危なかった、エアコンはあるのに動かすことができないとなると、エアコンは単なる部屋の装飾品に成り果て、使用しないものだから手入れもいい加減になってしまい、次第に朽ち果て壁より落下、壁の修理代及びエアコンの処分代を搾取されてしまうところであった。何より暑いままこれからの夏を過ごさなければならなくなる。ここは、少々寒いのを我慢し、リモコンがそのうち現出するまで待つことにしよう。
あれから一年、再び夏の季節がやってきた。リモコンはついぞ現れず、寒かった冬もエアコンの寒風に耐え忍び、電力会社から来る驚くほどの金額の記載された請求書にも耐え忍んできた。そんな時に飛び込んできたニュース、「今年は冷夏でしょう。」

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